Q&A

税務Q&A

2022年1月8日

 私は夫の死亡に伴い、夫の財産を相続しました。
 自宅である土地・建物は5年前に購入したもので、住宅ローンの残高は相続開始時点で1,000万円ありました。

 なお、この住宅ローンは、団体信用生命保険契約により、後日、返済が全額免除されました。

 この住宅ローンは、相続税の計算上、債務として相続財産の価額から差し引くことができるでしょうか。

 相続財産から差し引くことができる債務は、被相続人が死亡したときにあった債務で確実と認められるものに限られます。

 これには借入金や未払金などのほか、被相続人が納めなければならなかった税金で、まだ納めていなかったものも含まれます。

 団体信用生命保険契約に基づき返済が免除される住宅ローンは、被相続人の死亡により支払われる保険金によって補填されることが確実であって、相続人が支払う必要のない債務ですので、相続税の課税価格の計算上、債務として差し引くことはできません。

 なお、団体信用生命保険契約に基づく保険金は、受取人が住宅ローンの債権者である金融機関ですので、一般の生命保険契約に基づく死亡保険金のようにみなし相続財産とはならず、相続税の課税対象にはなりません。

 金融機関が発行する被相続人名義の預貯金や借入金等の残高証明書には、相続開始日現在の住宅ローンの残高が記載されているだけのケースもありますので、団体信用生命保険契約により返済が免除されるにもかかわらず債務控除してしまわないよう、注意が必要です。

 

 ※上記記事は、記事更新時現在の税法等の諸法令及び判例等に基づいたものですので、取扱いに変更がある可能性があります。